近年、カリアリに関してイタリアサッカー連盟が下した裁定の中には
いくつも疑問符が付くような決定があった。
そのもっとも新しい例がこの日曜日にカリアリ-ローマ戦が試合前
24時間を切った時点で中止になったことにより、試合を行わずして
ローマの3-0での勝利扱いになったことである。
今回、チェリーノ会長が行った愚行により、カリアリが罰せられるのは
当然である。そこに疑問の余地は無い(まだ安全性の確認が取れて
いないスタジアムに観客を呼ぼうとするなど気が狂っているとしか
思えない)。
しかしここで問題となるのはカリアリに与える罰として、”ローマに
無条件で3ポイントを与える”という手段が適正だったかどうかという
ことである。確かに今回カリアリは多くのルール違反を犯していた。
しかし、今回の様な特殊なケースではその特殊性も考慮して結論を
導くべきだったのではないだろうか。
1.そもそも試合はまだ始まっていなかった。
2.観客の行動自体がこの結果をもたらした訳ではない。
3.カリアリの選手はまさに試合を行うつもりで準備をしていた。
また今回の件で実際にローマが被った被害とはなんだろうか?と
言う事を考える必要も有る。3ポイントを無条件に与えると言う行為は
それに相応しい補償だったのだろうか?
ローマGMバルディーニはこうコメントしている。
『私たちはこの事件における被害者である。この試合に臨む為の
全ての準備を行った、フライトやホテルの手配等すべてだ。』
『ローマは自分達の利益及びファンを守るためだけでなく、競技
規則を尊重するという神聖な権利も守らなくてはならないと考えて
いる。それらは個別の事情に合わせる為に曲げることなどできない。』
(競技規則→対戦日程の進行を故意に妨害するようなことがあれば
そのクラブは罰としてその対戦は0-3での敗戦扱いとなる)
言葉だけ見るとバルディーニが正しい事は明白である。しかし1つ
忘れてはならないのは、この週末にローマが実際に被ったのは試合
前日に試合がキャンセルになったことによる混乱と金銭的な被害
だけだということである。
ローマはこの試合の為にサルディーニャ島のホテルを予約していた。
その中に怪我人の3人(トッティ、デ・ロッシ、オスヴァルド)は含まれて
いなかった。これはカリアリにとってホームで勝ち点3を取るためには
この上なく好都合だったはずだ。
ローマに無条件で3-0の勝利を与えることは結果としてセリエAの
最終的な順位に大きな影響を与えるだろう。
もしローマが3ポイント以内の差でスクデットを勝ち取ったり、CLや
ELの出場権を得たり、降格を免れたりしたら他のクラブはどのように
反応するだろうか?おそらく戦争並の議論が勃発することになるだろう。
議論の余地はあるだろうけども、ローマの旅費と日程組み直しの手間
の為だけにカリアリから3ポイントを剥奪してローマに与えるというのは
正しい解決方法だったとは思えない。
バカな事をしてしまう会長が居ない方に無条件に3ポイントを与えるより、
試合を実際に行ってその勝者に3ポイントを与えるべきだったはずだ。
2012年9月26日水曜日
2012年9月7日金曜日
サンシーロがゼーマンランドとなった日/ Zemanlandia at San Siro
今季のセリエAに於いて特別な90分間となった。
イタリア全土から熱い視線が送られたこの試合でサンシーロは
"ゼーマンランド"と化した。
インテルのファン達はキックオフ前にクルヴァにこんな横断幕を
掲げた『偉大なるゼーマン、クリーンなカルチョの象徴』
それはサンシーロに集まったインテルファン達からの、多大な
犠牲を払いながらも、常に自身の信念に忠実だった65歳の男
への賛辞だった。
もっとも90分後には彼等はローマに叩きのめされ、この老人への
感謝の念はすぐに忘れられることになるのだが。
シーズン前夜、未だにイタリアサッカー界を苦しめ続ける八百長
スキャンダルについて尋ねられた時、ゼーマンはこう答えている。
『フットボールってのはゲームだろう?だったらそれをやるだけだ。』
そして日曜の夜、その言葉通りのことをローマはやってのけた。
前半15分、トッティが完璧なクロスを放り込むとフロレンツィが
簡単に頭で合わせて先制。
奇しくも、この試合当日、ゼーマンが過去2シーズンをかけて
(フォッジャとペスカーラ)その才能を開花させたインシーニェが
アズーリに召集されることが発表されていた。
チェコ生まれの老将には近い将来同じようにアズーリに呼ばれる
もう1人の若者の名前がはっきりと見えたことだろう。
後半、再度トッティから放たれたセンセーショナルなスルーパスから
オスヴァルドのゴールが生まれる。ガゼッタ・デッロ・スポルトは
『3本のクロス、3つのアシスト。トッティは老いることを知らない!』
と最高の賛辞を翌日の一面に並べた。
ローマの為に用意された夜はオスヴァルドのロブパスに反応した
マルキーニョがほとんど角度の無い所からねじこんだ美しい3点目で
締めくくられた。
それは本当の意味でのローマの新シーズンの幕開けだった。そして
そのパフォーマンスは開幕してまだ2試合しか消化していないのにも
関わらず、試合を観た人々に『果たしてゼーマンはスクデットを勝ち
取れるだろうか?』という質問を始めさせるのに十分だった。
ゼーマン自身がこの試合の内容にまだ満足していないのにも関わらず。
『我々は良い試合をした。チームはインテルを驚かせようと思っていたし
実際にそれを試合でやりとげた。』と65歳の老将は説明した。
『まだ改善の余地が有るのは事実だが、今日の結果が我々がやっている
サッカーが正しいものだという自信を与えてくれたのは事実だ。』
またサンシーロに掲げられた横断幕についてもコメントしている。
『今日、メッセージを掲げてくれた人達に感謝したい。そして他の人達も
同じようにカルチョの世界がクリーンであるべきだと思っていると
信じたいね。』
もちろんイタリアサッカー界の暗部に公然と反抗したり、試合の勝敗
よりも試合の質を優先する彼の姿勢に対する賞賛の影に隠れて、
多くの人達がローマが開幕試合のカターニア戦で危うく敗北寸前だった
のを忘れかけていることも事実だけれども。
ゼーマン自身が『これがゴールでは無い。』と試合後のインタビューを
締めくくった。
彼の言葉が正しい事を願おう。
イタリア全土から熱い視線が送られたこの試合でサンシーロは
"ゼーマンランド"と化した。
掲げた『偉大なるゼーマン、クリーンなカルチョの象徴』
それはサンシーロに集まったインテルファン達からの、多大な
犠牲を払いながらも、常に自身の信念に忠実だった65歳の男
への賛辞だった。
もっとも90分後には彼等はローマに叩きのめされ、この老人への
感謝の念はすぐに忘れられることになるのだが。
シーズン前夜、未だにイタリアサッカー界を苦しめ続ける八百長
スキャンダルについて尋ねられた時、ゼーマンはこう答えている。
『フットボールってのはゲームだろう?だったらそれをやるだけだ。』
そして日曜の夜、その言葉通りのことをローマはやってのけた。
前半15分、トッティが完璧なクロスを放り込むとフロレンツィが
簡単に頭で合わせて先制。
奇しくも、この試合当日、ゼーマンが過去2シーズンをかけて
(フォッジャとペスカーラ)その才能を開花させたインシーニェが
アズーリに召集されることが発表されていた。
チェコ生まれの老将には近い将来同じようにアズーリに呼ばれる
もう1人の若者の名前がはっきりと見えたことだろう。
後半、再度トッティから放たれたセンセーショナルなスルーパスから
オスヴァルドのゴールが生まれる。ガゼッタ・デッロ・スポルトは
『3本のクロス、3つのアシスト。トッティは老いることを知らない!』
と最高の賛辞を翌日の一面に並べた。
ローマの為に用意された夜はオスヴァルドのロブパスに反応した
マルキーニョがほとんど角度の無い所からねじこんだ美しい3点目で
締めくくられた。
それは本当の意味でのローマの新シーズンの幕開けだった。そして
そのパフォーマンスは開幕してまだ2試合しか消化していないのにも
関わらず、試合を観た人々に『果たしてゼーマンはスクデットを勝ち
取れるだろうか?』という質問を始めさせるのに十分だった。
ゼーマン自身がこの試合の内容にまだ満足していないのにも関わらず。
『我々は良い試合をした。チームはインテルを驚かせようと思っていたし
実際にそれを試合でやりとげた。』と65歳の老将は説明した。
『まだ改善の余地が有るのは事実だが、今日の結果が我々がやっている
サッカーが正しいものだという自信を与えてくれたのは事実だ。』
またサンシーロに掲げられた横断幕についてもコメントしている。
『今日、メッセージを掲げてくれた人達に感謝したい。そして他の人達も
同じようにカルチョの世界がクリーンであるべきだと思っていると
信じたいね。』
もちろんイタリアサッカー界の暗部に公然と反抗したり、試合の勝敗
よりも試合の質を優先する彼の姿勢に対する賞賛の影に隠れて、
多くの人達がローマが開幕試合のカターニア戦で危うく敗北寸前だった
のを忘れかけていることも事実だけれども。
ゼーマン自身が『これがゴールでは無い。』と試合後のインタビューを
締めくくった。
彼の言葉が正しい事を願おう。
2012年9月6日木曜日
セリエA 第2節 vs インテル / Nico is back!
ホームでの開幕戦を引き分けた我らがローマの第2戦は
敵地に乗り込んでのインテル戦。
ゼーマンの様に相手に合わせて戦術を変えることなく常に
攻撃的な相手と対峙する時に対戦相手には2つの選択肢が有る。
引いてカウンターを狙うか、オープンな撃ち合いを望むかだ。
果たしてストラマッチョーニは高いDFラインと共に後者を選択
してきた。
ローマのスタメンは開幕戦で全く良いところの無かったラメラに
代わってデストロ。ブラッドリーとピアニッチを怪我で欠く中盤は
左からフロレンツィ、タクシディス、デ・ロッシを並べた。
DF陣は前節と入れ替え無し。
インテルはカンビアッソの代わりに新加入のぺレイラが入った
以外は開幕戦と同じメンバー。
左CHにぺレイラを起用したことからも判るようにインテルは
最初から左サイドを徹底的にゴリ押ししてくる。
カッサーノ、ペレイラ、長友の3枚に加え、スナイデルも左サイドに
張り付いて、カターニア戦で脆さを見せたピリスを狙い撃ち
してくる。
対するローマはボールを奪うと逆サイドのトッティにボールを集めて
対抗する。インテルが左に大きく偏った配置になっている為、
トッティにはいつもより少し大きなスペースが与えられた。
この日のトッティにとっては、色々な意味でそれで十分だった。
15分、サイドチェンジのボールを受けるとワンタッチで
サネッティを交わして簡単に中に折り返す。
グアリンとシルベストレがニアに走り込んでいたデストロに完全に
気を取られていたため完全にフリーになっていたフロレンツィが
頭で綺麗に合わせて先制点。
この日のグアリンは守備を任された中盤の選手としては理想的な
働きを見せていたが、左サイドに居たり居なかったりするトッティに
加え、絶えずバルザレッティとフロレンツィが交互に彼のスペースに
侵入してくるため、DF陣とのマークの受け渡しに苦しんでいた。
事態の打開を図るために左サイドにポジションを移した
カッサーノが前半ロスタイムに幸運なゴールを決め、ローマは
一旦追いつかれるが、67分にはカウンターからトッティ→オスヴァルド
とカウンターのお手本の様なパスが渡り再びリード。こうなると
インテルにはもう反撃する余力が残されていなかった。
81分にマルキーニョがオスヴァルドがトッティの真似をして
あげたようなロブパスを角度の無い所から叩き込んで試合終了。
このゴールはボールを奪ってから4本のパスをすべて縦方向に
シンプルに繋いだゼーマニズムのエッセンスを体現したかの
ような得点だった。
左サイドを攻めるインテルの狙いは正しかったかも知れない、
ただイーブンボールの時にボールを預かる役目を担うのが
ガルガノでは力量不足。お世辞にも攻撃の起点となっているとは
言い難かった。
対するローマはトッティがおそらく05/06シーズン以来の試合中の
タッチ数でチーム1の数字を記録。前線の左サイドでゲームメイクする
という現代サッカーのセオリーでは有り得ないことをやってのけた。
ガルガノとトッティ… 両チームでそれぞれもっともパスを裁いた
プレイヤーの力の差がそのまま最終的なスコアに反映された
結果となった。
そして隠れたMOMはブルディッソ。カッサーノが退いた後、インテルが
執拗にミリート目がけて放り込み続けたパスを黙々と弾き返し、
スナイデルやパラシオからは自由とスペースを奪い続けた。
試合後にロッカールームに引き返す彼の背中は『今シーズン最高の
補強はデストロでもバルザレッティでもない。俺の復帰だ!』と
言わんばかりだった。
ローマに本物の狼がまた1匹戻ってきた。
敵地に乗り込んでのインテル戦。
ゼーマンの様に相手に合わせて戦術を変えることなく常に
攻撃的な相手と対峙する時に対戦相手には2つの選択肢が有る。
引いてカウンターを狙うか、オープンな撃ち合いを望むかだ。
果たしてストラマッチョーニは高いDFラインと共に後者を選択
してきた。
ローマのスタメンは開幕戦で全く良いところの無かったラメラに
代わってデストロ。ブラッドリーとピアニッチを怪我で欠く中盤は
左からフロレンツィ、タクシディス、デ・ロッシを並べた。
DF陣は前節と入れ替え無し。
インテルはカンビアッソの代わりに新加入のぺレイラが入った
以外は開幕戦と同じメンバー。
左CHにぺレイラを起用したことからも判るようにインテルは
最初から左サイドを徹底的にゴリ押ししてくる。
カッサーノ、ペレイラ、長友の3枚に加え、スナイデルも左サイドに
張り付いて、カターニア戦で脆さを見せたピリスを狙い撃ち
してくる。
対するローマはボールを奪うと逆サイドのトッティにボールを集めて
対抗する。インテルが左に大きく偏った配置になっている為、
トッティにはいつもより少し大きなスペースが与えられた。
この日のトッティにとっては、色々な意味でそれで十分だった。
15分、サイドチェンジのボールを受けるとワンタッチで
サネッティを交わして簡単に中に折り返す。
グアリンとシルベストレがニアに走り込んでいたデストロに完全に
気を取られていたため完全にフリーになっていたフロレンツィが
頭で綺麗に合わせて先制点。
この日のグアリンは守備を任された中盤の選手としては理想的な
働きを見せていたが、左サイドに居たり居なかったりするトッティに
加え、絶えずバルザレッティとフロレンツィが交互に彼のスペースに
侵入してくるため、DF陣とのマークの受け渡しに苦しんでいた。
事態の打開を図るために左サイドにポジションを移した
カッサーノが前半ロスタイムに幸運なゴールを決め、ローマは
一旦追いつかれるが、67分にはカウンターからトッティ→オスヴァルド
とカウンターのお手本の様なパスが渡り再びリード。こうなると
インテルにはもう反撃する余力が残されていなかった。
81分にマルキーニョがオスヴァルドがトッティの真似をして
あげたようなロブパスを角度の無い所から叩き込んで試合終了。
このゴールはボールを奪ってから4本のパスをすべて縦方向に
シンプルに繋いだゼーマニズムのエッセンスを体現したかの
ような得点だった。
左サイドを攻めるインテルの狙いは正しかったかも知れない、
ただイーブンボールの時にボールを預かる役目を担うのが
ガルガノでは力量不足。お世辞にも攻撃の起点となっているとは
言い難かった。
対するローマはトッティがおそらく05/06シーズン以来の試合中の
タッチ数でチーム1の数字を記録。前線の左サイドでゲームメイクする
という現代サッカーのセオリーでは有り得ないことをやってのけた。
ガルガノとトッティ… 両チームでそれぞれもっともパスを裁いた
プレイヤーの力の差がそのまま最終的なスコアに反映された
結果となった。
そして隠れたMOMはブルディッソ。カッサーノが退いた後、インテルが
執拗にミリート目がけて放り込み続けたパスを黙々と弾き返し、
スナイデルやパラシオからは自由とスペースを奪い続けた。
試合後にロッカールームに引き返す彼の背中は『今シーズン最高の
補強はデストロでもバルザレッティでもない。俺の復帰だ!』と
言わんばかりだった。
ローマに本物の狼がまた1匹戻ってきた。
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