2012年9月13日木曜日

ローマ、オリンピコにVIPシートを創設 / Tribuna 1927


2年前にローマがアメリカ人実業家トーマス・ディベネデット(ボストン・レッド
ソックスの共同オーナー)とジェームズ・パロッタ(ボストン・セルティックスの
共同オーナー)に売却されることが決定して以来、彼等は『ASローマ』という
チームをバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドと並ぶような世界的な
ブランドにまで引き上げることを目標としてきた。
パロッタは公式には先週、新しいローマの社長に就任したばかりだが
既にローマを次のレベルに導くための方策を打ち出している。

クラブの中でのアメリカ資本の影響力を高めつつ、地元の自治体・官公庁
と連携して2016年までにローマ郊外にサッカー専用スタジアムを建設する
ことを目指すのがその第一歩である。パロッタと経営陣が狙っているのは
今迄の試合観戦のあり方を完全に刷新することだ。 具体的には近年、
チェルシー、バルセロナそしてユベントス等のクラブが成し遂げたような
改革である。
ローマは先日、スタディオ・オリンピコの一角に『Tribuna 1927』という
フェンウェイパーク(レッドソックスの本拠地)にあるような豪華なボックス
シートを増設した。



このクラブの創設年を冠したこの最先端のVIPシートでは席暖房が完備。
この席から行くことが出来るレストランでは最高級の料理が提供され、
大きな窓から厨房で料理が作られている過程も見ることが出来る。
備え付けのバーからはキックオフ及び後半開始時にピッチに出てくる
選手たちを間近に見ることも可能だ。

そして試合中に瞬きすることも可能になる。今までオリンピコで試合を観た
ことが有る方はお分かりかも知れないが、このスタジアムには巨大な
スクリーンが2つあるがどちらも試合中にリプレイを流すことは無かった。
しかし『Tribuna 1927』にタッチスクリーン式のモニターが備え付けられ、
そこには試合のハイライトだけでなく、試合前のロッカールームや
通路を通ってピッチに向かう選手たちの映像も写しだされる。

『これはイタリアで初めての試みなんです。』とVIP部門のマネージャで
あるレオナルド・ロッシは語った。彼は今年ローマに加わる前は、昨年
新スタジアムを建設して大成功を収めたユベントスで同じ職にあった。
『すごく近代的でしょう。我々が一番大事にしていることは高級感ですよ。
この新しい席で提供される食事、眺望は本当に特別なものです。』

スタディオ・オリンピコには陸上競技場も併設されている為、トラックが
ファンとピッチの間を遠ざけている。しかしこの新シートはよりピッチを
近く感じることが出来るのである。

この競技場を所有するイタリアオリンピック委員会はこのスタジアムを
ローマとそのライバルであるラツィオ両者に貸し出しているが、この新しい
VIP席を利用できるのはローマファンだけである。
この点でローマはラツィオより一歩前に居ると言えるし、クラブとファンの
関係をより強固にすることにおいても先んじたと言える。ローマの狙いは
試合でもピッチの外でも常にライバルを上回ることなのである。